現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

大工の賃金について語ってみる

さて、このところ大工の収入の安さについてのニュースやYouTube投稿が増えている印象がある

確かに30年以上も値上がっていない現実は重く、切実な問題
実際に安いしね(苦笑)

こちら静岡県西部では一人工相場は18000円で建前が20000円
月に25日働いても45万
そこから経費を引けば一体いくらになるのか?
なんとか絞り出した利益もあっという間に道具代へ消えていく

有給なんて夢物語(笑)
仕事が空けば稼ぎが減るだけ
雨すら恨めしくなる時もある(苦笑)

収入と環境を考えたら、とてもいいお勧めする仕事じゃないかもね
実際、大工の息子さんが大工にならないケースの方が圧倒的に多い印象がある
若者の入職も稀だし、入ってきても離職率も高いみたい

それでも子供のなりたい職業ランキングでは上位にいると思っていたら、いつの間にか消えていたようです
https://www.nexteyes.co.jp/blog/boss-blog/blog0323/

もはや明るい未来を語れない職業の一つなのかもしれない(苦笑)

故に声を上げるのは必要なこと
代弁をしてくれる人達を応援する気持ちは強い

ただその声の矛先を大手ハウスメーカーやパワービルダーに持っていっても効果が薄い気がしている

そもそもハウス系に関わっている大工は一部で半数もいないだろう

技術の安売りと言われるが、同時にあんな簡単な作りと蔑んでいるのだから、言い分に疑問がつく

単純に低い技術で作れる家を、低い賃金で作っていると言える訳だからね
それに質より圧倒的な量で稼ぐ大工が潤っている現実もある

もちろんそこに問題がないとは思わないけれど、本筋は別にあると思っている

では、刻みから施工し高い技術を謳う工務店所属の大工の賃金って、その高い技術に見合っただけ高いのだろうか?
寺社施工に関わる宮大工はそれ以上に貰っているのだろうか?

現実はどうでしょう?

僕の狭い人間関係の中での見識では、その技術力の差ほど賃金に差はないと思う
ある程度の経験で賃金が高止まりするのも変わらないようですし

現場で必要とされる技術力を軸に語れば、僕みたいなプレカット造作大工と宮大工となら倍は違っても良いはず

しかし手間請けで効率よく数をこなしている方が稼いでいる気すらする現実

つまり何が言いたいかというと

努力を惜しまず精進し高い技術を身につけた大工さんが潤ってくれなきゃ話にならないのでは?って事

その高い技術力に憧れるように稼ぎにも憧れたいじゃん

高い技術を誇る工務店が従業員大工に高い賃金を払っていなければ、それこそハウス系以上技術の安売りの叩き買いなのでは?

批判するつもりではなく、高いレベルの大工が潤ってくれなきゃ低いレベルの僕が潤う訳がないよ

それに安い安いと訴えるその大工自身は、応援さんに相場以上に支払ってきたのかな?

貰う立場だと相場手間代は安い
でも払う立場の時は相場を都合良く使ってきたのは皆同じでは?

この絶望的な環境から脱却するには、声を上げるだけでなく、一人一人それぞれできることを少しでもやっていかないと何も変わらないだろう

という訳で数年前から応援さんへは相場より高く払ってきたし、理解のある仲間からは多く頂いてきた
そして建前手間も上げていこうと思っているよ