現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

苛立ちを堪えて

今日からやっと床張り。
まずは二階から。
長さと張り始め6尺は柱と間柱欠きはしてある。
悩みに悩んだ墨に合わせて張り始める。

ちなみに普段は朱墨がメインだか、黒と白とチョークも準備している。
今回はチョークが仮で朱が本墨。一部変更が黒。
白は鉄骨やこげ茶のフロアーに対して使う。

接着剤は高値なにかわボンド。
今日は気温が高くボンドにある程度軟性があったが白熱灯にて温めて軟性を高めてある。
あまり近いと泡がふきそうなので適切な距離を取る。
温めて伸びを良くするのは施工性を上げ施工面積広げる節約。

事前に硬い実の裏は鉋で構ってあるが、それでも入らない。
硬いというより合わない感じ。
試行錯誤しながら綺麗に早く納める方法を模索する。

しかし遅い自分の手と埋まらない下張りに苛立ち始める。
その苛立ちから釘〆作業が面倒臭くなり補助タンクを見る度にエア圧を上げたくなる衝動にかられる。

普段はトントンと呼ぶ、3寸×1.5寸×2尺のタモで凸状に加工した物を使っている。
このトントンを扇状に動かして実を入れていく訳だが、今回は柔らかい杉。
実にトントンを当て衝撃を与える事に躊躇する。
もちろん実が負けて割れる可能性があるから。

今回は純粋な当て木1.5寸角を実に当て玄翁で叩き入れていくつもりだった。
しかしそれでも不安が払拭出来なく結局、小穴カッタで上端を避ける様、実と下端に当たる加工を当て木に施す。

無垢の一枚板ならではでこちらが入ると向こうが出ていく。
なので最初の2尺程が入ったら、壁内で見えなくなる木口に緑のキャップで後でペンチで抜くカリクギを脳天から打つ。
これによって作業は格段に早くなる。

ユニならパッキンを噛ませ透かし張りすべきたが、無垢一枚板。
土牛の幸七を使い可能な限り寄せ釘打ち。
フロアタッカーやフィニッシュなら幸七の股下から打てるが今回はいわゆる純粋な釘打ち機。
すぐ横に多少角度を変えて二本打ち。

無垢の一枚を使う以上、多少の目地の隙は仕方ない。
ありがたい事にお客様も十分に理解されている。

是可否でも避けたいのは加湿による突き付けにより床板自体が変形する事。
つまり目地付近が突き付けで盛り上がる事。
これは乾燥しても直らない最悪な症状。
床板が落ち着くまでにはそれなりの時間が必要。
仮に12月完成で落ち着く前に燃焼暖房を使われる可能性を考えると大工としては憂慮する。
3月完成予定のこの住宅はその懸念は少ないので安心感はある。

苛立ちながらも試行錯誤し堪えていたら、そのうち調子が出てきた。
3時の楽しみを終えてからはさらにテンポが出て手が止まらない。
最終的に4坪と3通り張った。
開封したボンドのキリが良ければ、もう少しいけたかも。
ロングドライブ後帰宅したら疲れが出たが、決して嫌じゃない。
明日に繋がる疲れかもしれない。