現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

はじめまして

はじめまして、田舎でいわゆる一人親方をしてます大工です。
現在の大工が置かれている立場や気持ち、そんな日頃のボヤキにお付き合いして下さい。

本日、上棟でした。
今回はいわゆる手間請けの立場です。
元請けさんはご夫婦だけで工務店を営まれてるベテラン大工さんで、現在は現場仕事はせず営業職に専念されています。
日頃から自分の親方以上に厚意にして頂き、この4年弱で5件目の新築住宅の請負です。
手間請けですが、通常とは少し違うかもしれません。
総予算以外お客様の打ち合わせから現場までほとんどを任せてもらっています。
手間請け大工としては最高な環境かもしれません。

今回の住宅はお客様の意向と自分の理想を求めて、集成材や合板を使わない住宅を目指してます。
しかし総予算は無茶苦茶厳しいです。
刻み加工を考える余地はなく恥ずかしながらプレカット加工です。
造作手間代も以前に建てた同じ規模の住宅より坪当たり0.5人工安いです。
作業効率の向上も命題です。
常に妥協が頭によぎるほど厳しいですが、この値段でどこまでできるか限界にチャレンジしたいと思います。

15日に土台と大引と落とし込み根太、そして大安でしたので南東の柱を一本建てました。
ここまでの材はすべて檜です。
かなり海に近い場所でシロアリを考えて檜にしています。

今後の作業効率を考えて先行床にしました。
でも構造用合板は使いません。
21厚の檜片実加工した物を捨て張りとして使います。
なぜ21ミリかと言うと、通常の剛床仕様の構造用合板は柱と間柱欠きを大きく取ってますね。
そして結構な隙間が。
その隙間を無くすのが目的で二階床と一階天井を兼ねる時にも使う手法で柱下端全周を7ミリ程しゃくります。
プレカット工場に見積もりしたら驚く値段が…。
選択の余地は無く自分で加工する事にしました。
でも胴縁カッタでは重く負担が大きいので小穴カッタでしゃくれる最大値である21ミリとしました。
また通常間柱として挽く物の流用なら安くなるとの事で21×105×3000になりました。もちろん片実加工は親方の三相溝付き機で加工です。
間口が3間なので10尺や9尺物は好都合です。
この好都合は今後も生きてくると思います。
もちろん建築基準法による剛床仕様にはなりません。
あしからず。

基礎パッキンはJoto製で調整板を使い水平を取りました。
三共技研のレーザー墨出し機「カネクロス」のキャッチャーはかなり優秀でミリ単位で差を表示してくれ、楽々調整板の厚みを読めました。

土台のアンカーボルトはカナイのハイブリッド2丸座金を使いましたが、先行座掘りしないと負担が大きい事を学びました。

尺間に60×45の根太を落とし込み、鋼製束の下端はボンドとM6芯棒打ち込みアンカー二本との併用止めです。
プレートは大引きに対して45度ふって、振動ドリルでの穴あけ作業を楽にしてます。
うーんやっぱりロータリーハンマードリルが欲しい!
飲み開けたペットボトルに水を満たして穴あけ毎に水冷却してますが錐は4本使いました。
5本セットを買って正解。

プレカットでは大引の向きを選択出来ません。
大引き中央部が上に反ってる時、完全に不陸解消はできません。
また経年でより上に反った時、ボンドだけでは追随出来ずボンドが切れ床鳴りの原因になります。
そして再調整してもより不陸を生みます。
不陸が許せない面倒臭い性格で以前は鋼製束一本に対して4分の全ネジをケミカルアンカーにて下への力を与えてましたが、スーパー道具屋さんの利兼さんからご教授してもらい打ち込みアンカーにより下への力を与える事にしました。
予算的にも作業効率的にもプラスな施工方法になりました。

17日が建前予定でしたが、先行床には厳禁の雨予報!
元請けさんとお客様と協議し19日に延期。

その為、15日は床を張らずに終了!
予定変更でキッチンの入れ替えを前倒しする事にし、更なる段取りに追われるハメに。
続く