現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

立場逆転

さて、今日も土台組み
あれ?昨日終わったはずなのにね

また別の新しい現場
しかし自分の現場ではない

2度と悪夢を見ない為にも掛け持ちはしないと決めたからね(苦笑)
ここはO君の現場
今回からO君も同じ元請け傘下の正式メンバー入り
その一軒目がここ

この数週間、O君が自分の現場に入っていたのは猫の手を借りたいのもあったけど、ここの元請け仕様を学ぶ為でもありまして

O君自体、訓練校を出てから実父である親方と父子鷹で頑張ってきたそうで
ほんの数年前まで刻みで新築をしていた本物の大工
しかし時代の流れには逆らえず、去年一年間ほどハウスメーカーの手間請けをやったらしいけど語るも涙聞くも涙の良い結果にはならなかったようで
そりゃそうだ、この時代に刻むような大工が自分でも躊躇うような値段の手間請けなんてね(笑)
そこでキリがついたところで離脱、その後は積極的に他所へ出る過程で後輩君を通じて自分と知り合ったという訳で

この前、おやっさんともゆっくり話をしたけど、自分一人だけならなんとか喰っていけるかもしれない
でも息子の分までとなると厳しいと
何度か建前で一緒になり人柄とその仕事ぷりには関心していたので一声掛けていて、そして今回の運びに

でも刻みをやる大工をこちら側に引っ張ってきていいものか?
ここの物件はまだ鑿鉋は使うけど手間請けには変わらない
そんな複雑な感情がありつつも、初めて自分が頭で請けるべく必死に頑張っているO君を見ていると、悪い事ではない気もしたりと

そんなO君には、今日は段取りから手順まで全てO君が決めて、俺は手元だから好きに使ってくれ!と
親父さんとしか土台をやった事がなかったようだけど、ほぼ昨日と同じやり方(笑)
でも立場は逆
目盛りを読むのも墨を打つのもボルト穴を開けるのもO君
最後にお客様のリクエストに応えて残業になったけど、土台自体そこそこいい感じだったと思う

そんな昼休み、すぐ近所の金物屋さんというか刃物屋さんへ
こちらではそこそこ有名なお店

親方元にいた時は一人工満額貰っていなかったようだけど、他所へ出るようになって少しばかり懐が暖かくなっていたようで
丸のこを買うって言ってたけど、正行の玄翁を見て衝動買い

ちょうど一人工分
やっぱりO君は、こっちに染まり切らないでいつでも向こうに戻れるようにしなよ(笑)