現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

立場を考える

昨日の記事とも関連があるが、同じ大工でも現場によってその立場は変わる。

元請けだったり、弟子としてだったり、下請けだったり、応援部隊だったり。
当然、その置かれた立場で求められる事もできる事も変わる。
なにより立場をわきまえた言動が必要。

時にその立場を忘れて元請けさんを怒らせる方がいる。
例え100%正論でも、元請けさんの意向に逆らってはならない。
黒い物でも白と言わなければならない立場もある。
お客様に言ってはならない言葉もある。

本日は先々週、キッチンの緊急リフォーム要請で行った大手リフォーム会社の同じ御宅の仕事をして来た。
自分の立場としては、下請けの下請けの下請け大工。
立場としては最弱(笑)
巡り巡ってきた緊急な話だったが、何とか納めたのを評価してもらったのか同じ御宅でのユニットバス入れ替えの依頼。

前回は自分の置かれた立場と元請け監督さんとは初見だった事もあって言われるがまま施工した。
しかし多くの問題があり、お客様の満足度はかなり低い。
監督さんがいなくなるとお客様は不満や愚痴を自分に言ってくる。
でも元請けさんを悪く言える立場ではない。
間に挟さまれて辛い立場。
その立場上、仕事の納まりに責任はないといっても職人として不完全燃焼。

そこで今回は下請けの下請けの下請けの立場をわきまえた上で、可能な限りより良い納め方、良い仕事運びを模索すると決めた。
どんな立場でもお客様の満足度を高める手筈はどこかにあるはず。

元請け監督さんの立場を守る為、お客様の前では当然だが否定的な意見は一切言わない。
あくまでも提案といった形で話をする。

養生や電気配線の取り回しなど必要と思う作業は監督さんの手を借りる事もなく率先してやる。
手際良く古いユニットバスの解体が終わり翌日新しいユニットバスが入った後の明後日の打ち合わせを。
前回と本日と二日だけ顔を合わせた監督さんだが、前回とは打って変って「大工さんに任せるよ」の一言。
仕事の立場に勝ち負けはないが下請けの下請けの下請け大工としては、なぜだか勝ち取った気がした。

そして半日近く時間が余ったので、近くでもう一軒あるので今からお願いできないかと依頼。
明後日のスケジュールと合わせて考えても大丈夫だったので、直ぐに次の現場へ。

ここでも「任せるよ」の一言。
養生や建材は完全元請け支給が基本らしい。
でも監督さんが持っているのは養生シートと20ミリ幅の養生テープだけ。
ゴミ袋もない。
現場を綺麗に納めるのにどこからの支給かは関係ない。
必要な物を持っている人間が出せばよいだけ。
マスカーと50ミリ幅養生テープ、土嚢袋を提供し養生の鬼らしい養生をして解体作業に。
追加で絶縁テープ、拭き掃除用除菌シートも出す。

仕事上がりに、今後頻繁に頼みたいと一言。
仕事先が増える事は素直に嬉しいが大手リフォーム会社と田舎大工、仕事へのアプローチが大きく違う。
それにどんなに現場での発言力を高めても下請けの下請けの下請けの立場は変わらない。
前回と今回の手間代がいくらにるのかも決まっていない。
なにより立場が変わらない以上、次はないかな。

仕事上の立場。
考える事が多い。
でも仕事のベクトルは常にお客様に向いていないといけないのは間違いない。


今日の現場談義
マスカー使ってます?

リフォーム養生にマスカーは必需品。
常に50、110、210の三種類を車載している。
解体作業に粉塵は付きもの。
マスカー無しでのリフォームは考えられない。
内部はもちろん、外でカットする時はお客様の車に張ったりグレーチングにと用途は広い。

追伸、マスカーはカッターではなくハサミで切りましょう!