現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

建前一日目

本日快晴、建前日和

建坪60オール4寸プレカット。
大工 7名
下請け職人5名
手元1名
レッカー1名
計14名の大所帯、頭数は十分。

まずは檜背割れ管柱建てから。
一階転ばし根太の為、基礎高が負担。
建前カケヤレス仕様のホゾでスコスコ入る。
管柱が入れば通し柱を建てながら組んでいく。

でもここで懸念通り、親方はじめこの物件に最初から関わる大工の誰一人ボルトを把握していない。
240がどこで255はどこにとわかっていない。
金物表は探したけど出でこない。
仕方がないので、原寸とボルト数で推測。
このボルトを把握していない事は最後まで足を引っ張る。

そして台付班がプレカット図を把握していない事も発覚。
現場が全く流れない。
昨日、自分の現場を休んで建前準備をすればよかったと後悔。

他にもいろいろあり皆がイライラし出す。
その苛立ちを抑え自分の作業方針を転換。

大工としてより監督として動く事に。
台付班と話しある程度の流れを決める。
一階の内部足場の指示と設置。
仮筋の手配。
ボルトの仕分けと現場配布。
とりあえずカケヤを振る以外の考えられる事して現場を立て直す。

なんとかある程度の流れが出てきた昼前頃にはどっと疲れが。
昼までに一階ボルト閉め完了。

カツ丼を頂き、たまらず直ぐに横になる。
ずっと動いていて、ハーフマラソンを走った気分。
昼の楽しみなしですぐに昼寝爆睡。
カケヤ振ってないのに超疲れた午前中。

続きはまた明日に


今日の現場談義
「プレカット」
親方に弟子入りした13年前はもちろん、知り合った20年近く前には親方はすでにプレカットを採用していた。
作業場が比較的小さかった事もあるが、やはり訳あって親方が選んだ道。
今更どうこう言うつもりはないが、刻みを覚える機会が少なかったのは残念に思う。

その20年近く前にはよく「ズレカット」と揶揄されたプレカット。
でも今はその精度は高まり現場で不都合が出ればプレカットではなく現場の大工が疑われる有様。
プレカットがもたらした恩恵は大きい。
コストダウンにも十分に貢献している。
でもHMお客様がそのコストダウンの恩恵を受けているかは別の話。

しかし一方で多くの大工のスキルが失われたのも事実。
またその緩い仕口も長い目でみると心配になる。
やはり万能ではないはず。
今でも刻みをされている方には頭が下がります。

「プレカット」
皆さんは採用してますか?
プレカットにまつわる話を聞かせて下さい。