現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

ナイトメアーアフター現場

さて、このところ忙しくて寝ていても仕事の夢を見るように
今日はそんな夢の話を
作業日誌で夢の話ってのは変だけど(笑)
この物語はあくまでも夢の話でフィクション

2軒掛け持つだけでも自分の情報処理能力を越えパンク気味
そこに2軒終わってからと思っていた3件目の上棟が先月末
先の2軒は自宅からかなり近く、通勤もお互いの現場の行き来も苦にならない距離
しかし3件目は天竜川を渡った更に向こう側
朝は確実に1時間以上掛かる遠方
しかも先の2軒の仕上げ時期と重なるため、どうしても上棟後に継続的に入ってくれる人が欲しかった

そちら方面の知り合い大工にあたるが、誰も皆忙しく無理しても建前くらいしかと
身近に暇な人もいたが、そんなに遠いのは嫌だと
探しに探して見つかったのがF君
後輩君の訓練校の先輩だそうで
しかし後輩君曰く、訓練校時代は仲良くしてたけど、その後一緒に仕事をした事がないので腕は保証できないし、実は人柄もそんなによくは分かっていないのでそこを分かって判断して下さいと

現場に来て頂き話を聞くと同じく大工の父親と長くTホーム手間請けをやってきて、ここ数件I工務店もやったと
管理の厳しい大手をやっていたし、話した印象も悪くはなくやる気も感じたので、一軒目の最終ボード張りから入って貰った
バタバタした感はあったが一生懸命張ってくれ、自分は細かい仕上げに集中でき助けてもらった
そのまま土台→床パネルと3軒目に入ってもらい、上棟後は一人で現場へ
時折???って事はあったが、背に腹は変えられないし、ある意味信用もしていた

上棟後1日目
自分の電話での指示は
1・まずはボルト入れの確認
余っていればどこかが入っていない証拠だから必ず探して入れる事
それと両引きでボルト貫通出来ず寄せていないところがあったから確実に寄せてと
2・図面と睨めっこし現場搬入されている金物の種類と数を確認して不足があるならすぐに発注
合板ビスか否かも把握して確認と

作業終了後F君の電話は
1は全部入れて締めました
2はオメガ15KNが一つ足りないだけですと

その後いろいろあって金物検査前日に筋交いボックスが2つ足りないので、家から持ってきたのをつけておきましたと
今更?と思いながらも金物検査当日は、伸ばして伸ばしてどうにもならない期日になった事をするためにお休みを頂いたので、F君に「大丈夫?」と聞くと
「完璧ですと」
なら安心して休むのでよろしくと

がしかし社内金物検査当日、監督さんからお休み中にすいませんが足りない金物を教えて下さいとメール
???
慌ててF君に電話
「どうゆうこと?」
「筋交いプレートが14個足りなかったので、家から持ってきたのをつけたんですが、統一してくれと言われました」と
???
「それ以外はない?」
「ないです」と
とりあえず監督さんに14足りないとメール
すると「L金物などかなり入っていなかったので、それだけで大丈夫ですか?」と
???
訳が分からな過ぎると思い、嫁を載せたまま現場へ行くことに
F君は風邪で金物検査後直ぐに早退
上棟後初めて入った現場を見てゾッとした

配線をしていた電気屋さんに詳しく聞くと
かなりいろいろ指摘されてましたよ
ボルトも7本入っていなかったみたいですと
よく見ると初日に言った両引きもそのまま
とにかく監督さんに電話をし謝罪
F君に電話するも出ない
車で待っている嫁が怖いのでとりあえず少し先のショッピングモールへ
駐車場に入ったところでF君から電話

ボルトの事を聞くと、化粧梁に紙が巻いてあって分からなかったと
???
両引きは固かったんでhさんがどうにかするかと
???
足りない金物は?
家から似たようなのがあったので
???

現場を見た瞬間に決めた事を言わせてもらった
「寒い中、遠方の現場に入ってくれてありがとうごさいました。
しかし今回の施工と経緯、そして結果を考えるとこれ以上仕事をお願いすることはできません
大変に申し訳ありませんが、仕事の依頼は今日までとさせて下さい
延長コードなど道具の引き上げ分もつけた金額を支払いますのでご了承願います」と

不貞腐れたような返事を受けて電話を切った
しかしこれは悪夢の始まりに過ぎなかった…

続く