現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

階段廻り笠木 踏板絡み編

今回の階段は正方形一坪で廻り上がる
下からストレート4段+廻り3段+廻り3段+ストレート4段
そこで真ん中の柱から腰壁に連結して笠木が廻る
最近は縦笠木レスもあるようだが、階段と共に新建材を使う住宅での数少ない大工の見せ場
気合いを入れて望む

155幅笠木は集成材の塗装板
表記はないがおそらく階段と同じゴムの木かと
でも自信はない(笑)

縦笠木は載せる踏板を含めると5段と絡む
そこそこ大変な作業
でも、大工のスキルを試される場面でもある
おそらく多くの方と違う納め方として笠木と真ん中の柱との間に3ミリベニアをかう
また、笠木と絡む所の踏板を3ミリ掘る

なぜ?
それは笠木加工の際、必ず現地で出し入れする
その時、突き付けが良好なほど欠損に繋がる
これまで何本の笠木をダメにしてきた事か
仮入れし、上手くいったと自画自賛
ボンドを付けようと外したら、肝心な所が割れたり(泣)
無理に入れ込もうとしてボキッと!

あらためて加工し直しても、なぜだか?初期型を上回る事はない
さっきまで憎らしい存在だった割れた笠木が、急に愛おしく思う
もう一度手にしてなんとかないかと見つめてしまう(笑)

そんな訳で、笠木裏に3ミリベニアを入れる&踏板を3ミリ掘る事で出し入れを楽に
また結果として突き付けは格段に良く見える

まずは踏板を掘るが、笠木で隠れる部分は30度ではなく、なるべく矩に落として笠木加工を楽にする
しかし荷的に重要な部分、あくまでも強度優先
一度裏も掘ったがかなり大変だったので表、つまり上面と木端を掘る
カッターでケガキ鑿打ちし掘っていくがかなり狭い所、豆の鑿が欲しくなる
笠木は失敗しても交換可能、しかし踏板は簡単ではない
笠木木っ端と3ミリベニアで掘りを確認していく
集中力と慎重さがものを言う

笠木本体を当て、まずは高さの墨をする
奥行は一段ずつ上下を確認
たまに踏板が水平でなかったり、蹴込板が垂直でなかったり、廻りが30度でなかったりもあるが、今回は階段を付けた大工がまともだったらしい(笑)

切り墨にはカッターにより深くケガキ塗膜を切る
踏板鼻は鑿打ち
欠き落とす出隅、入隅は3ミリ錐で、踏板鼻は25ミリのフォスナービットで穴を開ける
3ミリ錐は鋸の交差リスクを減らし、フォスナーは角のみ代わり
ケガキに合わせてまずは丸ノコで切り、手鋸で落としていく
鑿で仕上げていくが、一番活躍するのが勝手に名付けた「角ペーパー」
なんて事はない、のり付きサンドペーパーを25×25ミリや15×15ミリの矩の確かな角材ぐるっと貼った物
しかしこれが出来るヤツ
ナリも通りも良くし肌を整える
微調整も当然だが、仕上がりの質は格段に上がる
こういった加工には手放せない存在

今回は仮入れ2回でOK
先に苦労して掘るか?
後から笠木加工に時間を掛けるか?
手順はそれぞれだが、仕上がりは同様に求められる
今回はまずまず納得の仕上がりかと

明日はこの縦笠木の取り付け方と共に大留出隅編を
明後日は平留め編を予定

今日の小ネタ
踏板や蹴込板の奥行墨をする時、まずは通常のように材にエルアングルを当てる
そのエルアングルにサシガネを当てると簡単に矩の奥行が出せる
製図のドラフター的な使い方かと
ボードの窓抜きなど、なかなか応用が効くのでご紹介

小ネタの追記

結果として、これで木端に対して平行線を引けますorz
サシガネ2本でも大丈夫ですが、エルアングルの方か厚みがありますし安定します
また、笠木のように面取してある材にも使えます