現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

屋根施工 ダブルス&シングル

朝、疲れからかなかなかベッドを出られない。
軽くストレッチをしてやっとベッドを出る。

今日は一回り年下の後輩と二人。
その後輩は午後から用事がある為、午前中のみ。
朝、7時半前に現場に着くがすでに後輩が。
さすがに一人での屋根施工は避けなければとの考えは共通認識。

屋根のレイアウトは、3間×5.5間の5寸勾配で単純な切妻。
ケラバの出は2.4尺、鼻は流れ2.5尺程度。
洋瓦の平板葺き。

早速垂木の鼻刈りといきたいが、まずは垂木止めのやり直しから。
棟と桁にはXポイントビス130、母屋は四角穴ビス120で止めた。

しかし応援の職人さんがビス止めした一部垂木は浮いた状態。
ケラバの大外は垂木欠きから外れている。

施工手順として必ず垂木踏んでからとお願いしたが、慣れない高所での作業。
しかも終盤で急いでいた為、致し方ない。
また素性の良い垂木はマジックで分かるようにし、ケラバの大外や鼻隠しの継手などに使うと指定していたが…やはりこれも致し方ない。

垂木が捻じれて桁の垂木欠き底に付かないヤツはFクランプをつけ、クランプごと捻りしっかりと底につける。

切り墨は前日に出していたが、風があって少し怪しかった。
改めて出し直すがやはり1分は煽られていた。
自分が切り墨を出した所を後輩が充電丸のこで追っかけてくる。
ちなみに垂木は45×60の矩切り。

しかし便利で手放せない充電丸のこには決定的な欠点がある。
パワーの無さと深切りによる刃のブレによって1〜3ミリの切り直しが出来ない。
エルアングルミニをガイドにしても刃が元の切り口に沿ってなぞるだけ。
たとえ切り始めがうまく入っても最終的には逃げていく。
結果、精度の高い切り直しは無理。

充電丸のこで垂木の鼻を切る時は、必ず一発で決めなければならない。
少し平行と矩の怪しい充電丸のこで首を傾げながら施工する後輩に手鋸で切るよう指示し、二人で切る。

破風板は垂木天より2寸2分高くクランプで仮止めし微調整しビス止め。
板金で隠れるが、棟の拝みが空いているのはみっともない。

鼻隠しは垂木より4分高く付ける。
フロアのキレで4分高を合わせ野地を打つNC45で仮止めし75コース2本止め。
捻じってるヤツは上記したクランプごと捻りで。
ぐるっと廻ったところで軽く一服。
思ったより強い日差しに夏を感じる。

瓦葺きだが野地板は3×6の合板。
手間請けとしてはありがたいがムムム

千鳥に張るつもりでいたが、時間的に妥協し鼻から棟まで同じジョイントで登っていく。
鼻隠しが4分高くしてある為、合板はそこに合わせるので楽。
時間がないのでとりあえず仮止めのみ。

ちなみに昨日建てた梵天はとりあえずそのままに。
ホースの取り回しには最高の存在。

3×6を蒔き終わり、ケラバ部分をカット。
残り数枚のところで挽き粉に滑り尻餅をつき危うく落ちそうに。
よく見ると足袋底がツルツル。
定期的にダスターで飛ばしてはいたが、急に怖くなって動きが鈍くなる。

すべての合板を仮止めするが、2枚足りない。
どうやら材料を拾ってくれた材木屋さんは流れで12尺で納まると読んだらしい。
実際は12尺6寸ほど。

一人では大変な釘打ち墨を二人で出す。
ここでお昼のサイレン。
汗だくで頑張ってくれた後輩と近くのラーメン屋へ。
若いと良く食べるな(笑)

午前中目一杯動いたので、気絶するかのように昼寝に入る。
でもいつもの12時55分の携帯アラームが日曜日で未設定。
起きるとすでに1時半過ぎ、慌てて動く。

午後からは一人での作業。
足袋は昼に近くのホームセンターで新品を買ってきた。
やはり新品のグリップは心強い。
でも一人の時に落ちたら誰も助けに来ない。
午前中のオーバーペースもあって少しのんびりと。
あとは下で唸っている1445に呼吸を合わせ、ひたすら釘打ちするのみ。
午前中には吹かなかった少し冷たい風が心地良い。

釘打ちを終え降りてくるとダラーっと脱力感に襲われる。
屋切りの下地か筋交いをやろうかと思っていたがやる気が出ない。
建前の片付けも中途半端だったので、作業はここまでにし片付ける事に。

建前カケヤにボルトやかすがいなど不要な物を車載する。
ゴミも分別し、ダンボールも車載し帰りに古紙の駅に捨てる。

ここで元請けさんから電話。
屋根はとりあえず終わったと報告。
そしてこれからお客様とサッシの打ち合わせする事の承諾をもらう。

グリーンの養生テープをサッシ高さに切り、取り付け柱の両端に貼り付ける。
横にも流しサッシの大きさを表す。
これでお客様がサッシサイズをイメージしやすくなる。

母屋に居るお客様ご夫婦に来て頂き、サッシの打ち合わせ。
基本、予定通りで良いが一箇所変更に。
これでいつでも窓台が入れられる。

若くて生きの良い後輩が戻ってくるのは数日先。
それまでは一人での作業になる。

そういえばこの御宅、ベランダがコの字にある。
面積にすると6坪ちょい。
でも手間請けの坪単価には含まれていない。
後輩に愚痴るとHMもそうだと。
もちろん分かっているが、さすがに6坪もあるとね…(笑)