現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

えらそうにボード張りを語る

現代住宅ではボード張りは避けて通れない。
天井も壁も、時に床にも。
新築一軒ではゆうに百枚以上を張る事に。
でも本音を言えば、ボードじゃない家が作りたいが…。

そのボード張りはいわゆる「走れる仕事」
つまり手間請けとしては稼げる時間。
床張りや枠入れ、階段施工はどんなに急いでも限界がある。
またそれら作業はクレームに直結する。
ボードはその後クロスを貼り隠れる部分。
悪く言えば「抜く」事が出来る作業。
値段も安く失敗しても替えはいくらでも効く。
現実的にボード張り精度が低い現場は多い。

ちなみに後輩の話だが、普段最大手HMに出入りしているクロス屋さんにお客様経由で初めて依頼。
問題なく仕上がり支払いに段階に。
そこでびっくりした事に見積もりより6万以上も安く請求してきたと。
理由を聞くと、ボード下地の状態が良くて補修作業が不要だった為と。
いつものHMは作業初日に最大でゆうに10ミリ以上あるボードの隙間をコーキングし埋める事から始めるらしい。
枠突き付け、入隅から出隅のあらゆる所に。
初日は確実に一日中コーキング作業。

これでは大工が抜いた尻拭いをクロス屋さんにさせているだけ。
ここまで極端な話は別として似たような話は馴染みのクロス屋さんからも聞く。
クロス屋さんの大工への感情はかなり厳しい。

そもそもボードはクロス下地だけじゃない。
立派に防音と遮熱の役割りもあるはず。
極端に空いているのはそれら性能を下げている。

それにSハウスのように施工過程をお客様に見られる事が無いのは少数で、多くの現場では作業過程をお客様に見られる。
住みながらの修繕大工工事なら確実に毎日見られる。

10ミリも空いているなんて、大工として恥。
銭勘定より先に職人として心が痛む。

走れるからこそ
抜けるからこそ
最低限のモラルと精度が必要だと思う。
陰でクロス屋さんにボロクソ言われる大工にはなりたくない。

今日の現場談議
「ボード入隅張り終い」

入隅ボードがスッと入りピッタリ付くと気分が良い。
空くのもマズイが、強すぎてパンクはもっと最悪。
上と下でテーパーに空くとお客様に新築が傾いている印象を与える。
クロス屋さんの為にもお客様の為にもそれなりの突き付けを。

通常ボードは集じん丸ノコで裏から矩で切っている。
入隅張り終いで上下同寸の時は丸ノコガイドでカット。
でも上下テーパーの時は自作合板丸ノコ定規で。
合板に真っ直ぐのガイド棒を貼り付け、使う丸ノコでカットしたよくある奴。
100センチ、190センチ、250センチを用意している。
この合板定規の作り方にもこだわりがあるがまたの機会に。
ボードヤスリが嫌いでなるべく丸ノコカットのみで入れ込みたい。

皆さんの入隅ボードのカットと納め方を教えて下さい。
ご自慢のテクニックをご教示願います。
空いてて文句があるか!の方はご遠慮を(笑)

ここでプチクイズ
常に丸ノコは矩にしておきたく傾斜はあまり使わない。

合板定規を使うとボードは矩に。
でも入隅部分はテーパーカットすると入り易いし、ボードヤスリも掛けやすい。
かといって丸ノコを傾斜にするとこの合板定規の当たりが変わってしまう。
矩切り用と傾斜用の2種類欲しくなる。

そこで丸ノコも矩、定規も矩、でもボードをテーパーにカットできる術がある。
さてその術とは?