現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

階段加工 作業場編

今日から階段加工

まずは階段のおさらい。
側板無しの杉の階段。
3段廻ってストレート2段、6段廻ってストレート3段上がって二階床。
廻りは蹴込板の仕上げ面が芯。
ストレート部分踏面は227.5ミリ+蹴込30ミリで仕上げ寸法257.5ミリ
廻りは最低500ミリ必要。

そこで500ミリを加工するとなるとそれなりの機械が必要。
親方も現在加工をお願いしているベテラン大工さんもそこまでの機械は持っていない。
どちらも手押しは250ミリまで。
自動かんなも幅455ミリ高さ250以上は入らない。

そこで知り合いの大工さんの作業場を借りる事に。

直角二面カンナ盤は幅400ミリ高さ180ミリまで、
定盤固定自動カンナ盤は幅500ミリ高さは400ミリまで可能。
集塵環境も完璧でとても素晴らしいくめちゃくちゃ羨ましい設備。
でも手押しは置いてない。

まずはストレートの段板5枚から。
基材は270×50杉のオール赤味の小節。
古い物の為、そこそこ反っている。
必ず一木口切る。

もちろん第一ローラーは弱め。
親方の二面にはないセンサーによるローラー高自動調整で楽々。
切削厚を浅めにして通す。
切削厚を深くすると材面が飛ぶ事がある。
深く飛ぶと仕上げに影響が出る。
数もしれている、スピード感は必要なく慎重さが求められる。
4〜6回通して矩と二面の平面が出る。

この時、逆目をしっかり把握する。
木口に逆目が分かるよう記する。

昇降盤で幅を決める。
仕上げは257.5ミリたが、この段階ではありありの265ミリ程度で。
もちろん最近学んだように刃はしっかり出す。
指を落とさないよう慎重に。
向こう側にローラーがあるので一方通行。

幅を揃えたら手押しの代わりに再度二面に通す。
下軸は刃を降ろし、切った木端を横軸に当て平面を出す。
これは化粧面をどちらにするか未定の為。
三平面出たところで化粧面を決める。

改めて傾斜盤で261ミリで通す。
自動カンナ盤に両面通し258ミリとする。
0.5ミリは仕上げの為。

厚みは廻り段板と同時にする為、一旦置く。

そして廻り段板。
でも幅は500ミリ以上ある。
その為、朝一でベテラン大工さんの作業場で手押しにて木端側の平面を出し化粧面を決めてある。
そして昇降盤に通らないので丸ノコにて505ミリで幅を決めてある。
でも500ミリ幅はこの素晴らしい直角二面カンナ盤にも通らない。

そこで自動カンナ盤にサラサラ両面をひっくり返しながら平面と厚みを出していく。
デジタル表示があっていちいち座って厚み調整の必要が無い。
これも欲しい!
廻り段板9枚がある程度揃ってきたら、ストレート段板も含めて厚みを決めていく。
最後に通す面は必ず化粧面とする。

仕上げ厚はキリ良く45ミリといきたかったが、結果43.5ミリに。

ここでの作業は終了。
ベテラン大工さんの作業場へ移り、廻り段板の木端側を手押しにて矩を出す。
これですべての段板の分決めが終了。

溝突機により蹴込板溝を突く。
蹴込板は無節18ミリと小節15ミリと悩んだが、結論は先送りした。
その為、どちらにも対応できるよう18ミリ溝で5ミリ深に。

ストレート段板は超仕上げカンナにて仕上げ。
木端は手鉋。
廻り段板は超仕上げに入らないのでオール手鉋。
自慢の東郷鋼鉋の良さは情けないほど出せず、ベテラン大工さんがほとんど仕上げてくれた。
でも木端くらいはと頑張ったが、そう簡単にスキルアップできるものではない。
あまりに未熟で自分が嫌になる。
かなりの場数と精進が必要。

なにはともあれ、段板が揃った。
これからは現場での作業となる。


今日の寒さ、安全対策。
コンクリートの上での作業は身体から熱を奪われていく感じがする。
もともと寒がり、当然対策はする。
防寒安全タビ靴に靴下カイロ。
下はビニールの暖パン。

しかし上半身はなるべく身軽で凹凸が無いものが好ましい。
もちろん機械への対策。

親方が防寒ジャンバーの袖口のボタンを手押しに持ってかれるところを目の前で見た。
幸いボタンが弾け飛んだだけで済んだが、一つ間違えれば大惨事。

それ以来、手押しや自動を使う時はヤッケにしている。
フードや紐が無い、V衿ヤッケである。
寒いこの時期は中綿入り。
防じんにも役立つ。
もちろん手袋は新品。
耳には寒さと防音対策を兼ねてイヤーマフ
三相の機械音は疲れる。

釣り用の防寒着やレインウェアなど使ったが、袖口周辺の作りに危険な匂いがする。
便利なポッケも必要無い。
全体にのっぺりとしたV衿ヤッケが最良と思う。

夏場でも冬場でも安全靴にヤッケ、そしてイヤーマフ
これが加工時のコーディネート。
正直、あまり格好良いものではない。
でも安全第一で!