現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

ボード張り 施工編

日曜日の今日も仕事。
住宅街の為、早朝からうるさいのは申し訳ないので、8時ジャストに現場入り。
そして今日から入口枠施工。
その前にウォークインクローゼットの枕棚を。
詳細は後日。

ボード張りの話を。
先行幅木と廻縁の為、天井高までの一枚ボードが使えない。
3×6を使う事になる為どこかでジョイントが入る。

二階は三部屋あるが、二部屋は化粧の勾配天井にロフトも絡んでいる。
納まりは複雑なので割愛し、通常の作りの残り一部屋の話を。

天井高は梁の兼ね合いで最大値である2435ミリ。
通常なら三ツ割のボード2尺とサラの6尺でちょうど良い高さ。
自分の周りのベテラン大工はこの高さが多い。

納まりをおさらいすると幅木と廻縁は48ミリで同寸。
ボード溝深さが5ミリ。
自ずと天井ボードの必要寸法は2349ミリ程度になる。

ジョイントをどこにもっていきどう入れるかは悩んだ。

普段は天井高8尺4寸の2550ミリ程度が多く、胴縁を1.2尺間に流す。
そして下から2.4尺は貫にして手摺下地の役割も与えている。
予定に無い手摺下地を全面に入れるのは将来の為。
老いたり怪我をしたり必要になる時があるかもしれない。
どうせボード下地として胴縁を入れるなら、少しばかり手間を掛け手摺下地を設けている。

ボードは可能な限り天井高までを頼みたいが妥協する時もある。
そんな時は床から2.4寸の貫でジョイントする。
つまり下から2.4尺、上から6尺で都合の良い8尺4寸となる。
先行幅木の場合は下のボード長さが変わるだけで上は同じ。
天井高が低い時は6尺ボードを詰めたり、下から6尺で張ってジョイントの胴縁はダブルにしたり。
これは普段の施工方法。

話を戻して今回の直張りの話を。

やはりボード下地と手摺下地を兼用にする事に。
床から750ミリ芯で貫を入れた。
もちろんぐるっと全面に。
この貫はかつてこの現場で養生幅木として使っていた物。
遡れば材木屋さんの手違いで現場に搬入された物。
数は十分。

反り気味で平面が怪しくなっていたので両面を自動カンナにサラサラ通し平面出し。
結果、15ミリから12.5ミリに。
柱はゲンゾウで裏に野縁、間柱は掘った。
その掘りは小穴カッタでといきたいが、4キロある小穴カッタでは辛い。
腱鞘炎にはなりたく無いので、充電丸ノコと毛引き、そして鑿で。
断熱材を入れる前に壁の通りを構いながら入れが、そこそこ面倒臭い作業でやり始めた途端に若干後悔。
自分にブツブツ文句を言いながらの施工。

結果としてボードは幅木から700ミリ程度、廻縁から1650ミリ程度に。
ボードの切り回しとしては落第点。
700ミリの端は二つ割りで窓上にいくが、1650ミリの端はかなり出る。
しかし数枚のロスは金額にすると知れている。
切り回しより施工方法を優先。
下から750ミリに下地があると事で手摺下地としてだけでなく、独立している間柱の振れ止めにもなる。
また床からボードを張った後、廻縁の溝にボードを差し込む際700ミリのボードを差込むより1650ミリ
ボードの方が角度的に楽である。
足場に乗らないで作業出来る利点も後に気付いた。

その13ミリ幅溝に12.5ミリボードは素直に入らない。
ボードカンナで表裏とも小さく面を取るが材を傷める訳にはいかない。
慎重に作業。
昨日のボード張りの能書きで分かるように常に逃げがある為、左右の幅は気にならない。
溝に入ってしまえばこっちのもの。
必要な方に寄せて止める。
杉の溝に入隅三方突き付けで入れるのはかなり困難。
ここにも先行ボードの意味がある。

愛機は日立WF3H。
3尺ピッチの間柱は45ミリ。
左右のジョイントを確認し、真ん中の間柱から止める。
壁の不陸は事前にある程度見てある。
しかし胴縁施工のようにはいかない。
やはり直張りは不陸解消でなく、不陸隠しかな?
断熱材の存在も邪魔。
真ん中から止める事で、ビスパンクとビス抜けの可能性を下げる。
ここで頼りになるのは自分の膝と頭。
ビスを止める所は必ず間柱や柱に当たっている事を確認しビス打ち
真ん中が止まれば左右のジョイント。
手にしたボードは一気にビス打ちしてしまう。
角割れ、パンクなど不備があれば躊躇なく交換。
ボードの値段は知れている。

これまでは親方に習って木工ボンドを多用してきた。
胴縁にも6尺ジョイントにもたっぷりと付け、ビスは仮止め程度。
しかし今回、ボンド使用は必要最低限に留めたい為、未使用。

ビスピッチは5寸とし、事前にコンベックスで記する。
一見、便利そうなビスピッチャーは使った事がない。
自分でも時々嫌になる面倒臭い性格で、ジョイントの左右でビスがズレるのがなぜか嫌い。
ジョイント部の後側ボードはビス位置出さず、横のボードに合わせてビス打ち
このままあらわしでも問題ないと、ほくそ笑む。

そしてなぜか?ボード張りには洋楽が合う。
今回は最近仕入れた、ガンズの1stをベビロテ。
テンポ良く仕事が進む。

現代大工ならボード張りは避けられない。
好きな作業ではないし、仕上がれば見えない部分。
走ろうと思えば走れる作業。
いや、走るべき作業。
でも少なからずお客様様の目に留まる。
そのお客様には窓枠の留めの出来は分かり辛いが、ボードの仕上がりは一目瞭然。
安心感を与える為にも、やはり綺麗に張ってこそだと思う。

今日の現場談義
昨日の小ネタの感触が良かったので、新企画として立ち上げてみました。

では、3×6で張る場合、3尺側のジョイントやボード切り口面同士の突き付けどうしてますか?
自分は親方の指導通り面を取ってます。
タジマのボードカンナでいうと2ミリ程度。
クロス屋さんに聞くと欲しい要らないと分かれます。
今回は健康住宅用の特殊なクロスを張る。
是可否でも事前にクロス屋さんと打ち合わせをしたかったが内装は総合インテリアショップに頼む為、派遣職人が未確定。
営業さんでは話にならないので、普段通り面取りました。

はて?正解は?皆さんは?