現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

畳からフローリングへ 不陸解消編

今日は新築と同じ元請けさんからの依頼でアパートの和室をフローリングへ。
現場はさらに遠いが何度も伺っているアパート。

同じ様な工事は数えきれないほどやってきた。
現場に入ると6帖和室の畳は撤去してあり合板の荒板があらわに。
あれ?釘の墨が明らかにおかしい。
おそらく基本的には1.2尺間。
真ん中の合板のジョイントから測ってみる。
1.2→2.4→3.9→4.8尺
反対側は1.3→2.4→3.6→4.7尺
墨が酔ってる。
でもさすがに3.9尺は無いだろうと突っ込む。
基本的に大壁の和室。
新建材の75ミリ高の巾木が、畳から45ミリほど出るような納まり。
入口と収納の縦枠も新建材。
入口の敷居だけ無垢。
クロスは張り替えて間もないらしく触らない。
その為巾木はそのままとの事で四方突き付けで相手は新建材。
そこそこ大変。

まずは釘打ちにて合板を再度根太打ち。
釘はNC38。
案の定所々の元釘が浮いてきた。
つまり合板が浮いていた状態。
元の釘も玄翁で押さえる。

今回の根太は野縁30×40×4000
ラーヂ合板とフローリングは12ミリ。
敷居の高さは63ミリ。
仕上げは60ミリに設定しレーザーレベルで調べる。
やっぱりそこそこ悪い。
4隅で最大4ミリ違う。
でも巾木による納まりによりレベル取りは可能。
真壁の和室だとレベルが悪くても納まりの関係からすべ水平にする事はできない。
レベル出しではなく平面出しとなる。

巾木と敷居側面に根太天のレベル墨を打ちパッキンの厚みを読む。
元の根太は9尺で入っている。
その根太と同方向に新しい根太を這わせるが、その前に12尺側にも根太を這わせ四方取り囲む。
その12尺の根太には元の根太と同じ間で40幅7ミリ深さで掘り込んで置く。
今回は小穴カッタではなく鋸と毛引きとノミで。
天井下地と同じ様な作り。
パッキンは2.7〜5.5ミリのベニヤや端材でたくさん用意してきている。
組み合わせによりパッキン厚を決めていき、掘り込んだ下に入れて上から90ビスで元の根太に止める。
12尺側二方が決まったら9尺根太を如意棒で測り掘り込みに差していく。
材料の関係から9尺根太の1/3は継ぐ事になる。
掘り込み下にはパッキンがありそれに乗る。
水平方向で12尺根太へ斜めビス止め。
壁際もパッキンにより水平を取る。

ここまでの作業で四方グルグルと水平に根太が入っている。
そして9尺で適当1.2尺間にも根太が入っているが中央部の高さは未調整。
材料に余裕があったので中央柱芯からそれぞれ3尺にも根太を増設し、フローリングのジョイントに備える。

9尺根太中央部のパッキンはベニヤではなく、クサビである。
もちろんクサビ一つでは材はコケてしまい使い物にならない。
そこで同勾配のクサビを二つ使う。
左右それぞれからクサビを差していくと同じ勾配の為、水平に高さを取れる。
深くさせば厚くつまり高く、浅くすれば薄くつまり低くなる。

12尺で作ってきた不陸定規105×30を両端の根太に乗せ、9尺根太を足で踏みながらWクサビパッキンを不陸定規に当たるまで左右から深く差し上げていく。
この作業の連続で9尺根太も水平が出る。
9尺根太は1尺ピッチで元の根太に止めている。

以前は中央部もレーザーレベルや糸でパッキン厚を読んでいたが、それでも合わない時はある。
合わない時は当然、パッキンの出し入れが必要。
その作業手間を少なくする為のWクサビパッキンである。
また平面出しは数字より「通り」つまり「ナリ」が重要。
その為外周は墨と数字で、中央部はナリで平面出しをしている。

この作業が終わったのが10時ちょっと前。
でもラーヂ合板とフローリングがまだ入荷して来ない。
催促の電話はするが、蕎麦屋みたいな返答。

結局、材が搬入したのは11時頃。
そこからラーヂ合板を張り終え時計を見たら11時半近く。
ここから6帖のフローリング四方突き付けのスタート。

仕上げ編へ続く