現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

あっちから床を張る

まずは納まりのおさらいを。

DK(ダイニングキッチン)は15尺×15尺の12.5帖。
リビングは12尺×12尺の8帖。
この二部屋を一部屋にした。
外壁側ラインが同列で中で3尺ズレているレイアウト。
つまりDK側からリビングを見ると外壁側から広げた9尺開口+6尺壁となっている。
フロアは二部屋の合計27尺を長手とし張る。

さて、どちら側から張ってもリスクはある。
張り終いに複雑な収まりの入り口枠類への突き付けは難問たが、大工として腕の見せ所。
床板の通りが通らないなんてのは最悪。
完全に「逃げ」る事は出来ない。
結局は何を優先するかである。

やはり通り優先でと思ったが、今回はあえて突き付けを優先に。
縁切れスタートしても正確な通りを出せる自信がなぜか?あった。

まずは墨出し。
いつも以上に慎重に。
古い御宅リフォームの場合、建物自体の通りに難がある時も。
二部屋の関係を考慮し、微調整しながら基準墨を出す。

その基準墨からフロア墨を求める。
今回の1×6フロアは4つ割目地、その目地の位置も意識する。
いくら1×6でも敷居の間近くに目地は避けたい。
最悪は巾木ラインと目地がほぼ揃う事。
また、床下収納庫の存在も頭を悩ませる。
時間を使って割り出した墨のまま上手く納まる事を願い床張りへ。

勝手口、脱衣所入口、DK入口の突き付けからスタートし、DK側から張る。
いつものように5分下がり墨に4分長く切ったフロアを当て、現地でヒカる。
突き付け良好!
張り始めが終わればあとは6尺目までは流れるように。

さて問題の7尺目設定墨であったが、実際のフロアとはほんの少しだがブレている。
片方はほぼジャストたが、もう片方は5厘詰まり程度。
改めて修正した現状墨を打つ。
この墨は二部屋に渡る通り墨でなので27尺になる。

このDK7尺目の墨はリビング側にとっては4尺目に相当。
メス実に釘が打てる場合は通りのフロアから遡って張っていけるが、今回はメス実には打てないタイプ。
その4尺目墨から逆算し1枚目、つまりリビング入口の突き付けから張り始める必要がある。

これが縁が切れての張り出しの意味。
別々に張り出してから最後は同じ通りにする。

サシガネやスケールではなくフロア現物でその突き付けフロアの墨を求める。
やはり墨ではズレが出る可能性が。
実際、若干であるが7尺目でも出た。

DKと同じように敷居への突き付けから張り始める。
そして肝心要の7尺目と4尺目通り合わせ。

スパッ!と綺麗な一直線のフロア通り。
ジョイントの空きも無し!
苦労が報われる。
あとはなんて事はない。
床下収納庫に多少ムカつきながら張っていくのみ。

今回は不陸調整の為の床下に入って木製床束カットや元の合板を脳天釘打ちしたりと、床を張るまでは墨だけでなくいろいろとやったが、かなり長くなったので割愛。
それでも1×6フロア10坪ちょっとを張るのに2日近くも掛かったのは我ながら遅い。
キッチン据え付け日は決まっている。
急がないと。


久々、今日の現場談義
「1×6フロアのボンド付け」
今回は床職人を使ったが、その付け方もいろいろとあると思う。
自分は6尺側3本、あとは縦に尺間で。
先口は比較的小さい方かな?
量より線の数で対応し、外周部はかなり極めまで塗りたいタイプ。

他に渦巻タイプや点々タイプなどいますね。
皆さんはどうですか?

ついでの今日の小ネタ
床職人などのチューブはポテチ用などの菓子袋クリップが有効。
2本のバーで挟むタイプ。
最後までキッチリ使え無駄がない。
空気が入らない為か、そのままでも固まりにくい気がする。
最後の一搾りまで使う貧乏系大工の良き相棒(笑)