現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

階段笠木

階段が納まれば、それに絡む笠木の施工。
6段廻りの中心にある柱に付く笠木は4段に絡む為、簡単ではない。

使う笠木は欅の142×39ミリ。
上り框から3尺水平にそして中心の柱に垂直に降りてくるレイアウト。
上り框はすでに入っており45度で留めカットしてある。
そして笠木裏と当たる部分には21ミリ幅で4.5ミリ深で溝が突いてある。

上り框と絡むところの留めは上り框と同時期にカットしてある。
水平と垂直がからむ部分、つまり出隅の仕上がりが勝負どころ。
でもその前に垂直笠木の階段絡みをやっつけないと。

まずは笠木と絡む段板側を3ミリ掘る。
縦も横も縁取る様に全て。
笠木厚は39ミリだが、裏に3ミリパッキンを入れるので41ミリで掘る。

以前は掘りなし、パッキン無しで施工していたが、笠木を入れる時も外す時もシビアで厳しい。
実際、何回か笠木を割ってしまった事がある。
無理が出来ないからといって躊躇すると空いてしまう。

その対策として3ミリ掘り、3ミリパッキンである。

笠木の木っ端と3ミリパッキンの現物を当てながらカッターで段板をケガく。
寸2ノミでちびちびと掘る。

笠木の現物を当て高さをヒカる。
奥行は柱芯から算出する。
蹴込板に当たる勾配部分を把握しながら切り墨を書いていく。
3ミリ掘ってあるので2ミリ入れる。

確認し問題がなければカット。
可能な限り丸ノコを使うが、細かい所は廻し挽きより直進性が良いアゼ挽きを使う。
さすがに4段絡むので、少し力を入れたらポキリといきそう。

仮り入れし当たりを確認する。
何度か出し入れし仕上げる。
階段絡みがOKなら出隅留め。
出隅角度は事前に間柱の切れで試し修してある。
水平側と垂直側と全て確認し問題がなければ一旦外す。

丸ノコで出隅下地の角を21×21ミリ取る。
つまり出隅が欠けた状態。

水平笠木の出隅裏に21×21ミリの欅をつける。
お察しの通り出隅を強固につなげる為です。
玄関の付け框で小さい出隅になる時も同じ様にしている。

その欅は壁厚と同じ130ミリ。
つまり木口がボード仕上げと同面。

全て揃えば取り付け開始。
まずは垂直笠木を横から納める。
パッキンを入れ中央部をクランプする。
そして上から双方の溝に21×12ミリの背骨材を入れていく。
きっちり下まで入れる。
水平側は21×9ミリの背骨材を先に下地溝につける。
そして上から笠木を入れる。

垂直側はクランプで締め付け、水平側の両端は天井からサポートリフターでバリをかう。
全ての留めが良ければ要所に斜めビス止めしていく。
もちろん出隅は21角に。

ボンドレスといきたかったが、大留め部分には木工ボンドを、笠木裏にはニカワボンドをちょい付けした。

背骨材の存在でそれぞれの笠木の関係は良好。
暴れも抑えられる。
クランプしたりバリをかったり、ビス止めしても動かない。
安心感は絶大。
お試しあれ。

今日の小ネタ

クランプを斜めに締めると材は動く。
バリも同様。
正対させる事が基本。
安易にクランプやバリをしてはダメです。

でもあえて留め先に力がいく様にする事もある。
今回のように両端が留めの場合は避けるべきたが一方のみ出隅の場合、クランプも天井からのバリも留め先に向けて若干斜めにする。
もちろん突き付けをよくする為。
間違っても逆にはしてないで下さい。
翌朝、留めがすいてびっくりしますから。