現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

階段加工 段板編

段板の受材入れと柱掘りが終わり、やっと段板の加工へ。
上り框はすでに入っており上から手を付ける。

基本、段板は柱芯まで奥へ入れる為、ストレート段板は3尺で切る。
しかし上り框一段下の片方は同差しに当たる為、柱面になる。
受材に当たる部分をヒカり、小穴カッタにて21ミリ幅4.5ミリ深さで溝を突く。
そしてその溝に受材を差し込む事、つまりアゴにして段板の動きの抑制を狙う。
溝を突く前には必ずカッターによりケガく。
柔らかい杉、飛ぶことへの配慮。

上も同じ様にアゴにしようとしたが、柱と間柱の欠損がより大きくなるので回避した。
その代わりボード溝を突く事に。
やはり無垢の段板そして側板無し、クロスへの悪影響は避けられないが何かしら対応策を講じたかった。
その為、今回は小穴カッタを一台借りてきて二台体制。
13ミリ幅4.5ミリ深でボード溝を突く。

廻りも同様に当たりをヒカり上下は溝を突く。
その廻りの段板は正確に30度、60度で切る。
最近頂いたトップマン?というメーカーの3尺程あるジャンボスコヤにアルミプレート付けて丸ノコでも使えるようにした物を使った。
筋交いがあるので安定して作業ができた。

上から仮止めして一段一段降りてくる。
この作業をストレート5段、廻り9段するだけでかなりの時間が。
上りはじめの一段が終わったら一息。
分ではすんなり作業出来ているようだが、実際には柱や間柱があり段板の欠損はかなりある。
やはり側板施工が望ましいのは間違いない。

段板加工はこれで終りではない。
もう一手間、反り防止加工が待っている。

仮止めした段板を全て外す。
段板の裏にアリ溝を掘り、アリ桟を差して込んでいくのだ。

アリ溝は12ミリルータ用の底辺20ミリ深さ12ミリ角度72度のビットを新調した。
ちなみに大日商の超硬アリギリ12×20。
ルータスタンドも新調。
ルータはもらい物の日立M12BA。

アリ桟は欅柱の木っ端を流用。
サイズは60×45ミリ。

先にアリ桟を作る。
しかし欅の為一発では負担が大きい。
片方二回でアリを作る
段板一枚につきアリ桟を二本使う為、14段×2の28本作る。
ビットに霧吹きし水冷却しながらの作業。
しかしあまりに負担が大きい為、連続作業は諦める。

なんとか騙し騙しで28本完成。
ルータをスタンドから外し段板の裏側にアリ溝を掘る。
段板のキレで試す。

でもなかなか難しい。
緩かったりキツかったりしてジャストが見つからない。
塩梅のさじ加減は経験しかないかな。

幅が決まったら、まずは小穴カッタにて溝のセンターを蹴込板まで突く。
溝の位置は柱ツラから200ミリ、両端の溝の間は400ミリ程になる。
矩定規をクランプで止め、そのまま突いた時に左側のアリ溝が決まるように
その矩定規に23ミリの木っ端を当て右側のアリ溝が決まるようにしてアリ溝幅を確実なものにする。
そのアリ溝は下端幅が43ミリ深さ12ミリ角度は72度。

もうこの一日でどれだけ溝を突いた事か。
いくら小穴好きでも滅入る。
正直、超面倒臭い!

でも日が落ち始めた頃、なんかヤバイ!
変にテンションが上り、アリ桟入れが急に楽しくなってきた!
ハマってしまったようだ。

アリ溝を掘ってはアリ桟を差しての繰り返しがやめられない。
まとめて掘ってまとめて入れても問題は無いが、少なくとも溝を突く事自体は反り誘発する。
すぐさま埋めるのが最良。
でも本当はただただ入れたいだけかも。

全て入れ終わり、気付けば6時半。
当たりは切削屑まみれ。
役立たずの小穴カッタ用の集じんアダプタを捨てたい気分。
腰をおろして一息、コメントを入れお茶を飲み落ち着く。
疲れがどっと出たが、翌朝気持ちよく作業が出来るよう意を決して片付ける。

明日こそは階段を完成させたい。

今日の現場談義
本文に関してのコメントがないのが寂しいですが(笑)この企画は好きです。
そして役に立ってます。
本文はあくまでも作業日誌。
ブログをやっている本当の意義はここにあるかもしれない。

今日は現代大工の腰袋に必ず刺さっている「カッター」をテーマに。
正直、カッターに特にこだわりはない。
でもネジ式ロックよりオートロックを選ぶ。

今は見た目で選んだオルファのリミテッドとダジマのドライバーカッターを使っている。
刃はオルファの黒刃。
でもこの黒刃、最初は切れるが永切れしない気がする。

マガジン式本体と替刃100枚セットを激安で2セット買った為、ここ数年この刃しか使っていない。
マガジン式は全く使い物にならなかった。
重いし、刃は二枚出てくるしですぐに誰かにあげた。

カッターへのこだわり、ありますか?