現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

先行廻縁施工 施工編

廻縁の裏スキも終わり取り付け準備。

6畳の話をすると4方に足場を作り、廻縁の仕上がり墨を天井に打つ。
それぞれの柱と間柱のパッキン厚を読み近くにメモする。
廻縁が落ちないよう柱と間柱に野縁の所々に止める。
野縁をすべて回ると廻縁のビス止ができない。

また廻縁をビス止めする時はクランプで挟み動きを抑制しビス止めをする。
しかし外壁側は断熱材があり、もちろん外壁もあるのでクランプは使えない。
そこで野縁を廻し縁と平行に天井に取り付け、バリの相手とする。

廻縁の片方を留めにカットし足場に乗せてスタンバイ。
廻縁の切れ端を両入隅部に仮止めし、内寸定規で長さを当たり廻縁に切り墨を記していく。
この作業を4回繰り返す。
日立スライドにある全長を切り、45度倒して留めを切ってもOKの機構には頼らない。
あくまでも自分の目で切り墨を確認したい心配症。
足場を降りてスライドにて留めにカット。
ボード溝に下穴をテーパー錐で開ける。
インパクトが邪魔にならないよう柱と間柱から50ミリ程度離れた所。
避けなければならないのは天井下地ビスやボードビスを拾い、インパクトやビットで廻縁を傷付ける事。
下穴の位置は神経を使う。
また先欠けの可能性を下げる為に新品インパクトビットを使う。

留めが切れたら、一本一本はめ込んでいき留めの合わせを構う。
留めがOKなら柱と間柱にパッキンを下から差し込みクランプとバリで廻縁を押さえる。
もちろん仕上げ墨に合わせる為、微調整は必要になる。
廻縁には養生テープを貼った胴縁455ミリを当て木として傷防止と押し付け力の均等化に貢献させる。
4本が揃った所でビス止め。

天井への押し付けとしてブールのサポートリフターを使う。
ボード溝に合わせて凸型にした当て木を挟み天井へ軽く押し付ける。
ビスは4カット内装ビス90ミリ。

4隅の入隅をまず決め、それから中間を決めていく。
気を付けなければならないのはビスが決まる事でバリの力が開放してしまう事。
こうなるとバリと胴縁共に奈落の底に。
床は柔らかい杉、いくら養生があっても不安は拭えない。
細心の注意をしながらビス止め。
ビスが決まれば間髪いれずバリと胴縁を外していく。

最初の6畳は1時間半弱の作業時間。
でも半分は施工手順の確認時間。
慣れればスピードアップは可能。

それでも後付け廻縁より手間が掛かるのは間違いない。
いや、裏スキ作業も入れたらもっと掛かっている。
根本的に言えば廻縁自体の仕上げや加工作業。
さらに基材とした間柱探しを入れたらその差は計り知れない。

新建材がもたらした現場大工への負担減は相当なものである。
しかしその負担減以上に手間代が安くなっている訳だから恩恵とは言えないかもしれない。
それに新建材をいくら綺麗に納めても楽しくない。
多少、苛立ちながらも綺麗に納まった分厚い赤い杉の廻縁を見上げながら、ふと感慨にひたる。