現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

先行廻縁施工 準備編

長尺の窓枠も入れ終わり廻縁施工へ。
もちろん掃き出しの下端はしっかりとヒカり突き付けてある。

廻縁は先行施工。
これは壁の通りを真っ直ぐにする事と、1.5尺ピッチとぶボード下地を考慮しての事。
また30ミリ厚の材が大量に手に入った為。

しかし恥ずかしながら、先行廻縁施工は今回が初めて。
でもこれまで親方元では9割方、先行幅木施工をしてきた。
独り立ちしてからも可能な限りその施工方法を継承してきた自負はある。
その応用で望もうと思う。

しかしこれまでと条件が異なる。
それは壁がボード直張りな事。
これまでは必ず胴縁を流してきた。
その為、納まりは大きく変わる。

幅木、廻縁に使う材はたくさん仕入れた無節の間柱。
その為一部長さが足りない。
さすがに12尺を2本で継ぐ事は出来ない。
頼めば新しい物は幾らでも手に入る。
でも10尺物は十分に乾燥した古い物。
同じ条件の12尺や13尺物が10本は欲しい。

聞き回った結果ありました。
探してみるもんです。
詳細は割愛しますが、13尺の105×30の杉を12本確保しました。
でも完全な赤は3本のみ。
源平は2階へ使う事に。
でもすべて上小以上。
ちなみ先日話題にした3×3間のLDKは中心の大黒柱を芯に十字に化粧梁があり廻縁は9尺で足りる。

通常は廻縁より幅木が大きい。
幅木が60ミリ廻縁が40ミリ位が多いかな。
個人的には幅木は75ミリ以上の背の高いのが好み。

相当悩んだ結果として、幅木と廻縁を兼用とし加工の手間と材の配分のし易さを優先した。
105×30の10尺と13尺を基材として二つに割り、48×27の幅木&廻縁。
幅木として考えると少し小さいが、事前に屋根裏部屋で試していており、お客様の了承は得た。

その27ミリ厚に小穴つまりボード溝を突く。
親方の三相溝突き機には12ミリ溝キリ刃はあるが、13や13.5は無い。
硬いタモ材の場合、その12ミリでボードの面を取れば差し込める。
しかし今回は柔らかい杉。
溝に負担を掛ける事はできない。
かといって、さすがに小穴カッタと自在カッタで突く訳にいかないので205径の13ミリカッタ刃を新調した。

仕上がりは化粧面7ミリ→ボード溝幅13ミリ深さ5ミリ→裏面7ミリとした。
表と裏が同じ寸法、つまり真芯に溝を突いたのは加工工程により化粧面が荒れたり傷付いた場合、裏を化粧面とする可能性を残したかった為。
実際、何本かは裏が化粧面となった。
化粧面は片銀杏面。
仕上げは妥協してしまい超仕上げカンナに委ねた。

ボード直張りなのにボード裏が7ミリある。
もちろん柱や間柱、場所により筋交いに当たる。
廻縁の長さをある程度合わせて切ったらその当たる部分を小穴カッタですき取る。
7ミリ取れば寸法上問題はないが実際は違う。
柱や間柱は出入りがある。
その為、入隅と出隅部は正規寸法の7ミリ、中間部は9ミリとし通りに合わせてパッキンを入れる事にした。
そのパッキンも今回はオール無垢が目標。
1〜4ミリのパッキンを端材でスライドのチップソーが替え頃になった時に山のように作った。
一部は窓枠止めに使った。

話が長くなったので、施工編は明日に。

突然ですが、ここでプチクイズ!

ボード溝には当然ボードを差し込みます。
しかし天井や床に当たる部分も同じ形状で溝を突いてあります。
でも深さが違います。
ボード溝は深さ5ミリ。
天井や床に当たる部分の溝は2ミリ。

ではなぜ?ボードに関係無い所に2ミリの溝を突いたのでしょうか?
おそらく早いもの勝ちになると思いますがお付き合いお願いします。

まずはノーヒントでいきましょう!