現代大工の悪足掻き日誌

田舎大工の作業日誌

外壁胴縁下地 その3

週末にお客様との打ち合わせによりサイディング決まり、外壁屋さんと協議し施工方法も決めました。

サイディングは一階部が横張り、二階部が縦張りです。
通気の確保と予算と手間との折り合いを考慮した結果、一階は檜の7分胴縁、二階はエゾ松のエアホール胴縁20ミリにした。
出隅とジョイント、サッシ周辺は下張り床で使った105×21ミリ厚の檜を使う。
お客様は最後までかなり迷われたが、予算を住設に廻す選択をされサイディングは14ミリの釘打ちに。
結果論だが、自分は悪い選択とは思っていない。
サイディング自体の寿命はしれており、いずれ対応に迫られる。
またサイディングを使う時点である程度の割り切り感がお客様にも自分にもある。
第一希望は塗り壁での大壁。
金物施工品と釘打ち品との差は大同小異と割り切れる。
サイディングの張替えを考慮する時期になったら大壁施工を視野に入れている。
その為の集成材レスであり合板レス。
これも一つの価値観。

檜材は自動かんな盤に通してエア胴縁の厚さ20ミリに合わせる。
中間水切りにより縁は切れるが、7分胴縁自体の厚み精度は決して高くないので自動に。

正直、こういった作業は手間がかかり、一人でやっているとそこそこ負担。
加工時に現場が空になるのも気になる。
なにより現場が遠い。

そこで強い味方が!
在庫置きとして作業場を占領してしまっているベテラン大工さんが、加工を引き受けてくれる事に。
今後は床板、窓枠、巾木、廻し縁や各種見切りなどを遠慮なくお願いできそうです。
専門の加工屋さんでも引き受けてくれますが、値段の問題と木目を読んだ上での材料選定と加工が期待出来ない事、この二点で躊躇してました。

大工によって加工してもらうのはお客様にとっても自分にとっても最良の結果。
またその大工さんも無垢の経験が当たり前世代の超ベテラン、しかも格安で引き請けてくれます。
願ったり叶ったりの申し出にただただ感謝するしかありません。
でも、そんなに悲壮感ある顔していたのかな?

しかしその一方で鉋仕上げのスキルアップの機会が減ったのは正直、残念だが同時に気持ち的に楽になったのも事実。
でも可能な限りは自分の手で仕上げたいと思う。

外壁下地の話に戻ると
胴縁はN65打ち、二階エア胴縁は1.2尺間。
最近のサイディングの目地は柱芯では無く、サッシ際に合わせる。
その為、ハットジョイナーを上まで通す為には一手間が必要になる。
窓際のハットジョイナーを片ハットにするか片ツバを取る事は当たり前たが、サッシ際の胴縁をサッシに寄せる必要がある。
同時にツバの厚み分削る必要もある。
釘打ち施工の為、胴縁の不陸はそのままサイディングに出る。
ツバ厚は無視できない。

しかし、そもそも窓際に片ハットジョイナーが絶対に必要かと考えると必ずしも絶対では無いと思う。
ハットジョイナーを使う理由はシーリングの三点接着を回避する為、バックアップ材でも十分その役割りは果たす。
でもハットジョイナーの利点は均一の厚さでシーリング打設が可能になる事。
シーリングにおいて均一の厚さは重要と思っている。
バックアップの場合、落ち着きが悪かったり、サイズを間違えるとシーリングの厚みにムラが出る。
可能ならハットジョイナーを使いたい。

また結露の懸念が高いアルミサッシ周りにさらに金属を持ってくるのは避けたいので、窓周りは樹脂製タイプでお願いした。
しかもサッシ際の胴縁をツバ分離れても施工可能な幅広片ハットジョイナー。
便利な物が見つかった。
多少なり大工手間減。
この施工方法に決めるまでかなりサイディング屋さんと話し合った。
ベストかはわからないが、限られた予算の中ではベターと思っている。

方法が決まれば速攻施工!
でも外壁胴縁の墨付けは一人では大変!
そこで4m胴縁の切り口に3寸程度の胴縁を張り付け、L型の引っ掛けを作る。
その引っ掛けを出隅に掛けて墨付け。
足場に立って、下、中、上と3尺ピッチで。
そこからの延長は定規胴縁をひっくり返しLが干渉しないようにして墨付け。
ジョイント部分の3.5寸を間違えないようにすれば手軽に素早く墨付け可能。

二階の横胴縁は説明はいらないと思う。
一階胴縁の下から1mは元請けさんの意向でアクアアリゾールを塗布。

あとは日立NV65HMCでバンバンと弱め打ちし、手打ち一回で極める。
筋交いに絡まない独立間柱は真っ直ぐになるよう透湿防水シートを貼る前、間隔が狭い方に後のカーテン受けになる間柱のキレを入れて間柱の通りを出してある。
3尺ピッチの間柱は1.5寸。
1.5尺ピッチの間柱は1寸。
ここは釘が外れないように気を使う。
横に貫通した釘は雨漏りの要因に繋がる。
見た目だけではなく住宅性能として配慮すべき。

頑張ったが、さすがに一日では終わらない。
明日も続く。

急かしたせいかベランダも土曜日には施工し、月曜日に色付けしてある。
年内には外回りを終わらせ足場を取りたい。
無理かな?

でも肝心な屋根がまだ。
板金屋さんに催促する時、あるベテラン大工さんからの話を思い出した。
板金屋を翌日には現場によこす、決めゼリフがあると。
それを使ってみる。

自分「今週には足場を外すよー」
板金屋さん「冗談キツいなー。行きたいけど材料が入ってないからさー」

どっちもどっちもである(笑)

師走です。
どの職人も忙しい。